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written by 岡パパ
世界中で食物アレルギーでお悩みの方は増加傾向にあります。日本では、乳幼児期の食物アレルギーを持つお子様の代表的なアレルゲンは、卵・乳・小麦が9割を占めています。
この問題に対して、世界中で食物アレルギーの予防や治療に関する研究が進められています。
その研究が進んでいくなかで、10年ほど前までは「食物アレルギーへの対応」として常識とされていたものが、現在では逆転しているものもあります。
以前は「アレルギーになりやすい食べ物に関しては、離乳食の開始時期を遅らせたほうがいい」と言われておりました。実際に、米国小児科学会では、生後1歳までは『牛乳』、2歳までは『鶏卵』と『ナッツ』の除去を推奨していました。
しかし、かえってこの『離乳食期にアレルゲンを除去する推奨により食物アレルギーを増やしてしまったかもしれない』という報告が発表され、2008年には撤回されました。
そして最近の多くの研究結果から、『発症前から摂取を開始することで、食物アレルギーの発症を予防するかもしれない』という研究結果が多く報告されてきました。
今回報告された研究結果は、『牛乳』について、生後〇ヵ月から摂取することで、牛乳アレルギーの発症を予防できる可能性を示す報告がされました。
生後1か月ころから牛乳を摂取することで
牛乳アレルギーの発症を予防できるかもしれない!
(画像はイメージ)
最近でも、卵に関しては、それぞれのアレルゲンに対して生後6ヵ月頃からの摂取開始により、各食物アレルギー症状を予防する効果が期待できる研究結果が出され、日本小児アレルギー学会からも発表されています。
日本小児アレルギー学会からの発表はこちらから
厚生労働省が発行する授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)はこちらから
しかし、牛乳に関しては摂取時期を見極めるのが難しかったようです。牛乳アレルギーに関しては生後6ヶ月前後がもっとも発症が多い月齢と考えられています。そのことから、生後2週~1ヶ月くらいから開始すると良いのではないかという予想が立てられていましたが、最近の研究では、生後3日以内に粉ミルクを飲んでいると、むしろ牛乳アレルギーが増えるかもしれないという結果も報告されるという、大変難しい状況でした。
そして今回、生後1ヶ月から粉ミルクを開始すると牛乳アレルギーの発症を予防できるという研究発表が行われました。
この研究では沖縄県で生まれた乳児504人が集められました。
集められた乳児は、生後1ヶ月から生後3ヶ月まで普通粉ミルクを10mL毎日のむグループと、粉ミルクをのまないグループ(必要であれば大豆を使用したミルクを使用)にランダムに分けられました。
その後、生後6ヶ月の乳アレルギーがどれくらい発症したかを比較しました。
その結果、生後6ヶ月に乳アレルギーを発症したのは、飲み始めたグループでは0.8%、飲まなかったグループでは6.8%の発症率となりました。つまり、10mLと少ない量でも普通粉ミルクをのみ続けることで、乳アレルギーの発症が抑えられる結果となったのです。
※本研究は、あくまでも乳アレルギーの発症予防に関して普通粉ミルクを与えることを行っています。これは『母乳育児が悪い』や『母乳育児では足りない』ということを言っているのでありません。毎日の赤ちゃんのお食事(ミルク)に少量の普通粉ミルクを加えることで、乳アレルギーの発症予防が期待できるという研究結果です。
「なんでも早く食べさせればイイという訳ではない!」
今回ご紹介した研究結果にて、卵は生後6ヵ月頃から、牛乳は生後1か月頃からと、アレルギーの発症予防策に対して開始時期が全く異なることも分かりました。つまり食物アレルギーの発症予防には、『早めに離乳食を開始すれば食物アレルギーを予防できる』という言葉では説明しきれない、各アレルゲンとなる食材と離乳食期における関係の難しさが存在します。
また、これまでの研究結果である程度明らかになってきている、『早めに食べ始めることで、その食物のアレルギーが予防できる』と考えられる予防策は、卵、ピーナッツ、そして今回の牛乳アレルギーの発症予防策に限られています。
他の食材については、その開始時期などはまだ未解明であり、なんでも早く食べさせればイイという訳ではありません。
また、既に食物アレルギー症状を発症しているお子様に対して、アレルゲンとなる食材を食べさせることは非常にリスクが高い行為となります。必ずアレルギー専門医のお医者さんと良くご相談した上で、摂取時期等をご検討されるようにしてください。
とは言え、今回の研究結果により、3大アレルゲンの1つ:乳の食物アレルギー予防について、希望の光が見えてきたように思えます。今後も研究が進んでいくことで、食物アレルギーで悩む方が1人でも少なくなれば嬉しいですね。
記事参照元:Yahooニュース記事はこちらから