アレルギー症状に苦しむ人は世界中で増加傾向にあり、その原因や症状も様々。
そんな方々を救うべく、多くの医療機関や研究機関でアレルギーの治療などに関する研究が進められています。
今回発表された研究結果は、卵アレルギーを持つ方々にとって希望が持てるようなものです。
<目次 Contents>
世界初!アレルギー低減卵の安全性を確認
要約
キユーピーは、国立大学法人広島大学と共に、2013年からアレルギー低減卵の共同研究を進めてきました。
この度、2020年に作出に成功した、主要なアレルゲンである『オボムコイド』を含まない鶏卵の「安全性」を世界で初めて確認し、その研究成果に関する論文が、学術誌『Food and Chemical Toxicology』2023年5月号に掲載されることになりました。
アレルギー低減卵って?
(画像はイメージ)
卵(鶏卵)に食物アレルギーを持つ方は、卵に含まれるタンパク質などが反応してアレルギー症状を発症します。
鶏卵のアレルゲンとなる物質は、卵白に含まれるタンパク質(オボアルブミン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボムチン、リゾチームなど)と言われています。
オボムコイド以外のタンパク質は熱に弱いため、十分に加熱すればアレルゲン性が低下します。これにより、食物アレルギーを持つ人でも、症状によっては十分に加熱した卵であれば食べることができる場合もあります。
しかし、『オボムコイド』は熱にも消化酵素にも強いため、加熱調理や消化酵素を用いた加工を施しても、アレルゲン性が失われることがありません。
その『オボムコイド』を完全に欠落させたニワトリを誕生させ、『オボムコイド』を含まない鶏卵を作出できるように研究がされていました。
(画像はプレスリリース記事より)
2013年から基礎研究が始まり、2020年にはラボレベルでの作出に成功しています。
副産物や標的以外への影響がないことを確認
オボムコイドを含まないアレルギー低減卵は、ゲノム編集技術により、鶏の受精卵のオボムコイド遺伝子の働きを狙って止め、その後孵化した鶏が成長し、交配・産卵することで作出されます。
このようにして作出した鶏卵(アレルギー低減卵)を食品として利用するには、ゲノム編集による副産物や、標的以外へのゲノム編集の影響を解明し、「安全性」を確認する必要があります。
そこで、広島大学を中心に研究・解析をした結果、作出したアレルギー低減卵には、オボムコイドも副産物も含まれていないことが証明されました。また、ゲノム編集による、別の遺伝子の挿入や他の遺伝子への影響も全くないことが明らかとなり、世界で初めて、その安全性を確認することができました。
今後の研究は?
今後はアレルギー低減卵を用いた応用研究が進められていきます。
具体的には、①有効性評価、②育種造成、③物性・加工適性評価、といった3つの柱となります。。
有効性評価では、アレルギー低減卵を用いた血清試験と患者による喫食による臨床試験を行い、有効性を確認していきます。
また、物性・加工適性評価では、卵が持つ様々な性質「凝固性」「起泡性」「乳化性」などの加工適性が、アレルギー低減卵にも同等にあるのかなど、さまざまな食品への利用の可能性を探るために重要な研究がすすめられます。
以前から注目されていたアレルギー低減卵
実は、2016年にも『オボムコイド』を除去した卵を産むニワトリを産み出す研究について、岡夫婦のブログでもご紹介していました。
(画像は当時の発表記事より)
「『オボムコイド』を含まない卵を産むニワトリだなんて魔法みたいだな。でも、ゲノム編集で産まれたニワトリって大丈夫なの?」と思われていましたが、今回の研究にて『オボムコイド』を除去したアレルギー低減卵の安全性が確認されたとのことです。
アレルギー症状を引き起こす鶏卵のタンパク質は『オボムコイド』だけではありませんので、全ての卵アレルギーを持つ方がこのアレルギー低減卵を食べることが出来るわけではありません。
しかし、人によってはアレルギー低減卵によって今まで食べることのできなかった卵料理を食べることが出来るようになるかもしれません。また、アレルギー低減卵を用いた食品の開発も進められるかもしれません。
我が家の娘も、いつの日か『卵かけご飯』が食べられるようになればイイなぁと思います。
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