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written by 岡パパ

 

食物アレルギーをお持ちのお子様が小中学校に通う際、
最も大きな課題として挙がられるのが『給食』でしょう。


(画像はイメージ)

少しずつですが、特定のアレルゲンを除去する
食物アレルギーに対応した給食を提供してくださる自治体や学校が
増えてきました。

ただ、お子様の食物アレルギーの品目数や重症度によっては対応できない場合もあります。
また、アレルゲンを含む食事の誤配膳や食事中に誤ってアレルゲンを誤食してしまうなどの
トラブルもゼロにするのは難しいのが現状です。

そんな中で、ある自治体の給食提供が注目を集めています。

「食物アレルギーがあるお子様でも、安心して給食が食べられるように」
大阪府箕面市では、1月から小中学校全20校約1万2千人分の給食の『おかず』に、
卵、乳、小麦といった代表的なアレルゲンを使うことをやめるという
「低アレルゲン献立」を採用しています。

全国的にも珍しい対応で、近隣自治体の保護者や大学教授らが視察に訪れているとのことです。

 

◆「低アレルゲン献立」に取り組むきっかけ

箕面市が「低アレルゲン献立」に取り組んだのは、、
2012年に東京都調布市の小学校で重度の食物アレルギーを持つお子様が
誤ってアレルゲンを食べてしまい亡くなった事故がきっかけとのことです。

当時は、給食を中学校に拡大するための準備中だった為、
アレルギーがある児童・生徒でも安心して食べられるようにできないかと検討を始めました。

実際に卵、乳、小麦を使用しない給食を提供している保育園があることを知りましたが、
保育園と小中学校では規模が大きく異なり、実現させるのは困難だと考えていました。

しかし、1つ1つの課題を整理していき、実現の道を探していきました。

 

◆知識を総動員して考えたメニュー

「低アレルゲン献立」の主な除去対象は、
特定原材料7品目:卵、乳、小麦、ソバ、落花生、エビ、カニです。

以前から、ソバ、落花生、カニは不使用でしたが、
卵、乳、小麦、エビの4品目については代替食材などを用いて
おかずを作らなくてはいけません。

その上、文科省が定めた栄養価の基準を満たすことも必要となってきます。

栄養士の方々は、知識を総動員してメニューを考えました。


(画像はイメージ)

例えば、カルシウム量は乳製品を使わないと達しにくいです。
牛乳以外に、大豆や小魚、切り干し大根を増やすなどして、
目標値とほぼ同じ値を維持するなど工夫をしています。

また、食材の選定などにより、価格も抑え、給食費を上げずに済ませることもできました。

誤食の可能性を少しでも下げられるように、牛乳やチーズといったものは、
紙パックのものや個包装のものを採用します。

こちらの給食メニューは、ピラフ、ミネストローネ、ポテトサラダ、
紙パックの牛乳と個包装のチーズ。


(画像は記事参照元より)

 

◆試食会で拡がる笑顔


(画像はイメージ)

箕面市が統一して作成した新メニューは2017年から試行され、
18年4月から、全献立の半分で新メニューを始め、今年1月に全献立での実施に切り替えました。

今年6月に行われた市民向け給食試食会では、食物アレルギーがあるお子様も、
みんなと同じメニューを食べることができました。

参加された食物アレルギーをお持ちのお子様のご家族は、
お子様がいつもよりも嬉しそうに食事を食べている様子を観て、とても喜んでいたとのことです。

 

◆改めて見えてくる課題

主要なアレルゲンを使わない「低アレルゲン献立」を採用したのだから、
課題点・問題点も全て解決!・・・というようにはならないのが現実のようです。

実は、低アレルゲン献立に変えた1月から、アレルゲンの誤食ゼロが続いていましたが、
5月末に1件アレルゲンの誤食が起きました。

食物アレルギーをお持ちのお子様ご本人が、
アレルゲンを除去した食事を別途取りに行かなければいけないところ、
取りに行かずにアレルゲン入りのお食事を食べてしまいました。
誤食してしまったお子様は幸いにもアレルギー症状を
発症しなかったということですが、本人も担任教諭も気づかなかったとのことです。

箕面市教育委員会学校給食室の白井担当室長さんは、
「食事を提供する限り危険はゼロにはならない。
 安全性を最優先して何ができるか模索したい
とお話されています。

食物アレルギーに詳しい小児科医の伊藤節子・同志社女子大特任教授のお話では、
「卵や乳、小麦を全部除いた学校給食は珍しく、給食の安全性としては一番いい方法」
とお話する一方、
「子どもが『何を食べても大丈夫』と思ってしまうと、事故が起きかねない。
 完全に治るまでは、食べられないものがあると家庭や医療機関で教育することも大切」
と懸念事項も指摘されていました。

 

記事参照元:朝日新聞はこちらから

 

今回、箕面市の取組「低アレルゲン献立」についてご紹介しました。

どの自治体でも、食物アレルギーへの対応については、
取組まなくてはいけない課題として認識してくださっているかと思います。

ただ、実際に個別に対応していくとなると、
給食を作ってくださる調理師さんや献立などを考えてくださる栄養士さんなどの
人的な課題:『個別にアレルギー対応をするためにプラスの作業がかかる』が出てきます。

また、調理を行う調理室(給食センター)などの物理的な課題も考えなくてはいけません。

それらを解決する手段の1つとして、給食のおかずに卵、乳、小麦といった
代表的なアレルゲンを使用せずに、全て統一した献立にすれば、
人的な課題や調理室などの物理的な課題のハードルが下がっていくような気がします。

箕面市が行っている取組を、多くの自治体の方々が学んで持ち帰り、
各自治体の取組に反映して頂ければ嬉しいです。