食物アレルギーは、特定の食物を食べるなどして摂取すると、身体がアレルギー症状を引き起こす免疫疾患です。

食物アレルギーを持たない方は普通に食べることができている食材でも、その食材に食物アレルギーを持つ方が食べてしまうと、アレルギー症状を引き起こし、場合によっては重いアレルギー症状:アナフィラキシーやアナフィラキシーショックへと繋がり、命が危険な状態となってしまいます。

食物アレルギーを持つ方の基本的な対策は、食物アレルギーを引き起こす食材:アレルゲンを摂取しないことですが、日常生活の中で誤って摂取してしまい、アレルギー症状を引き起こしてしまうことがあります。

そういった場合、人によってはお医者さんから処方されている頓服のお薬を飲むことで症状が治まる方もいます。しかし、症状が重い場合はエピペンというアドレナリン注射液を処方してもらい、重い症状が出たら自分で(または周りの方により)注射を打ちます。

重いアレルギー症状が出た際は命に係わる場合もある為、症状が確認されたら即座にエピペンを打つように!と言われます。しかし、エピペン自体は衣服の上からでも身体に打つことができる『注射』です。針も太く、ブッスリと刺さるので、打たれた本人はもちろん痛いです。また誰かに打ってもらう場合には、その打つ方が「本当にイイのか!?」と心配になってしまい、打つのを躊躇(ちゅうちょ)してしまうこともあり得ます。

我が家の娘も、過去にアナフィラキシーを起こした時には、岡パパが娘が動かないように抱きしめて、岡ママがエピペンを打つということをしました。色々なイベント等も含めてエピペンの使い方を学んではいたものの、いざ自分が娘に打つとなると頭の中が真っ白になります。「こうでいいのかな?」と打つまでに何度も確認したりするなど時間がかかりました。また娘は「痛いぃ!」と大泣きしました。

エピペンは、打たれる側も打つ側にとっても結構負担が大きいとは感じます。

そんなことを考えるのは私達だけではありませんでした。エピペンに代わるアドレナリン投与方法について、様々なやり方が研究・開発されています。

最新の研究内容について紹介されていたニュース記事がありましたのでご紹介します。

リンク:アレルギーの「アナフィラキシー」増加 痛みなく〝アドレナリン〟を投与するには?進む研究

 

<目次 Contents>

エピペンに代わるアドレナリン投与方法の研究開発

1.鼻腔噴霧(鼻スプレー)


(画像はイメージ)

以前、私達のサイトでも紹介したのが、「鼻腔噴霧(鼻スプレー)」です。

リンク:アナフィラキシー発症時!エピペンに代わる薬の効果確認!?

鼻の穴の血管豊富な粘膜を利用して薬液を噴霧して素早く吸収させる方法です。針を使わないので、患者さんにとっても、または患者本人が動けずに薬を周りの人に投与してもらう場合、その投与する人にとっても心理的な負担が大変少ない方法です。

動物実験やヒトを対照にした検討では、筋肉内注射と同等の効果が確認されています。しかし、アナフィラキシー時の鼻粘膜がむくんだ状態でも有効かどうかの研究が必要とされています。

 

2.舌下(ベロの下)投与


(画像はイメージ)

舌の下に薬液を投与して血管豊富な口腔粘膜から吸収させる方法です。こちらも針を使わないので、患者さんにとっても、または患者本人が動けずに薬を周りの人に投与してもらう場合、その投与する人にとっても心理的な負担が大変少ない方法です。

動物実験では筋肉内注射と同等の効果が示されています。人体での臨床試験が進行中で、味の問題や口腔内のむくみの影響についてさらなる研究が必要とされています。

 

3.吸入(霧状にして吸い込む)


(画像はイメージ)

薬液を霧状にして口から吸入する方法です。

既存の研究では、効果的な血中濃度を得るには多量の吸入が必要とされています。副作用や使用の難しさから、現時点では実用的ではないとされています。

 

これらの方法のうち、特に鼻噴霧投与と舌下投与は、使用や保管が簡単で痛みも少なく、有望な方法として注目されているとのことです。

それでは「すぐにその方法に切り替えよう!」とはいけないのには、まだ課題があるからです。

 

現在、鼻噴霧投与=鼻噴霧アドレナリンが実際に製品化に向けて研究が進められています。

鼻噴霧アドレナリンの臨床試験では、筋肉注射やエピペンと同等の効果が確認されています。しかし、鼻の刺激、鼻水、頭痛、吐き気といった副作用が報告されています。筋肉内投与アドレナリンよりも、血圧や心拍数の上昇が大きくなるといった指摘もあります。つまり「やや効きすぎる」ということです。

また、『鼻スプレー』ですので、当然『鼻づまり』や『鼻水』がある場合に対しても有効か?ということも検証していかなければいけません。

ある研究では、健康な成人ボランティアを対象にして鼻噴霧アドレナリンを投与したところ、鼻づまり状態(鼻閉時)では鼻スプレーアドレナリンの吸収は上昇し、筋肉注射によるアドレナリン投与と同等かそれ以上の効果が確認されました。今後は、アレルギー症状によるアナフィラキシーを起こした患者にとっても有効かどうかを確認していく必要があります。

また、鼻噴霧アドレナリン開発において、上気道感染症(いわゆる風邪)があるかどうかでの検討が行われました。結果として、風邪の有無で、アドレナリン血中濃度の変化に差はなかったそうです。

鼻噴霧アドレナリンは現在、米国食品医薬品局(FDA)の承認待ちの状態で、日本でも検討が進んでおり、最近、効果が認められて申請がおこなわれたという報道がありました。

 

今後も研究・開発が進んで、実際に製品化がされて実用化になれば、アナフィラキシーを起こした際の治療を、エピペン、鼻スプレー、舌下投与などの方法から選ぶことができるようになるかもしれません。

これからの研究・開発に期待しています!

リンク:アレルギーの「アナフィラキシー」増加 痛みなく〝アドレナリン〟を投与するには?進む研究

 

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